第百六十八話 始まる魔族と獣人族の決闘!「では時間もありませんので、簡単に自己紹介をさせて頂きます。まずはあの方、わたくしの主であるリリィン terjemahan - 第百六十八話 始まる魔族と獣人族の決闘!「では時間もありませんので、簡単に自己紹介をさせて頂きます。まずはあの方、わたくしの主であるリリィン Bahasa Indonesia Bagaimana mengatakan

第百六十八話 始まる魔族と獣人族の決闘!「では時間もありませんので、簡

第百六十八話 始まる魔族と獣人族の決闘!
「では時間もありませんので、簡単に自己紹介をさせて頂きます。まずはあの方、わたくしの主であるリリィン様でございます」
「え……あの幼……」


またもリリィンが喧嘩中なのにギロッと睨んできたので即座に言葉を改める。


「あ、あの絶妙に可愛らしいお姫様がそうなんだ!」
「ええ、ちなみにお嬢様は、年齢や身長、主に見た目についていろいろコンプレックスをお持ちでございますので発言には慎重にお願いします」
「わ、分かった……」


ミュアも気を付けようと思い、アノールド同様に何度も頷く。


「そして彼女はわたくしと同じようにお嬢様にお仕えしているシャモエでございます」
「シャ、シャモエなのでしゅぅぅぅっ!」


シャモエは頬を染めながら言葉を発するが、見事に噛む。そんな彼女を見てミュアが親近感を持ったのは必然と言えよう。


「そしてこちらはニッキ殿でございます。こう見えてもヒイロ様の愛弟子でございます」
「よろしくですぞ!」


ニカッと笑みを浮かべたニッキを見て、


「は、はぁ……あのヒイロが弟子をねぇ……」
「じ、時間は流れてるってことだよおじさん!」


物珍しいものを見たといった感じで感嘆している二人。


「そして……」
「おひさしぶりだよふたりとも!」


ミカヅキが二人に対して手を上げて言うが、二人はポカンとしている。


「え……誰? なにこの子?」


アノールドがそう呟くと、


「ぶ~わすれるなんてひどいよぉ~! ミカヅキだってうっすらおぼえてたのにぃ~!」


頬を限界まで膨らませて拗ねるミカヅキ。


「存在感が薄いですぞミカヅキ~」
「うるさいよニッキ!」


ニッキに嫌味を言われミカヅキは顔を真っ赤にして怒鳴る。だが幼女の名前を聞いてもピンときていないアノールドたち。そこでシウバは説明することにした。


「実は彼女はヒイロ様の手によって擬人化した存在でございます」
「ぎ、擬人化だってぇっ!?」
「はいでございます。元はライドピークと言う魔物でして、以前にもアノールド様たちとはお会いした経験があるとのことですが?」


そこでアノールドたちは思い出す。確かにライドピークを借りて【獣王国・パシオン】の近くまで乗せてもらった。


「あ、あの時のライドピークってことか?」
「そうだよ! ひどいよ、わすれるなんて! おじちゃんもミュアも!」
「ご、ごめんね!」
「お……おじちゃん……」


ミュアは正直に謝り、アノールドはおじちゃんと言われたことにショックを受けて肩を落としている。


「最後にわたくしめの名前はシウバ・プルーティスと申します。以後お見知りおきを」


丁寧に頭を下げる。

「しかしよ……擬人化とか転移とか、アイツどんどん何でもアリになってきてるよな……」


アノールドは頬を引き攣らせながら日色を見つめている。


「ノフォフォフォフォ! ところでアノールド殿は何かこう、わたくしと近いものを感じます」
「おお、そうなんだよ! 何か俺もアンタにはこう通じるものがあるっつうか」
「そうでございましょう! 何故なのでしょうね! ノフォフォフォフォ!」
「何なんだろうな! アハハハハ!」


どうやら変態とロリコンには、誰にも分からない絆が生まれていたようだった。会ったばかりなのに、まるで親友……いや、心友とも呼べるような感覚が二人の間に漂っていた。


そんな不思議で理解不能な化学反応にミュアはどうやって反応したらいいか戸惑っていると、ようやく口喧嘩が終わったのか、日色がやって来た。


「ん? まだいたのか? ならとっとと自分の陣営に戻れ」
「ぬぐ……お、お前なぁ……せっかく会ったってのにホントまったく……悲しいほどに変わらん奴だなオイ……それに最近国へ来たとか師匠から聞いたが、挨拶ぐらいしろよな……ったくよぉ」
「半年でそう変わるか。それに国へ行った時に挨拶しなかったのはお前らがいなかったせいだ。オレに非は無い」
「…………ホント偉そうだなお前は……」
「あはは……何かほんとに懐かしいよね」


二人は呆れながら溜め息を漏らす。


「そういやオッサン、獣王の前で、嬉しそうにオレのことを暴露したそうじゃないか」
「え、あ、そ、それは……」


日色の口元は緩んでいるが、目は決して笑っていない。背中から黒いオーラが流れ出ている。


「どうやら久しぶりにオレの魔法の実験体になりたいようだな?」
「ちょ、ちょっと待てってヒイロ! た、確かに言ったけど、お、お前だって連絡一つよこさなかったじゃねえか!」
「…………だから何だ?」


日色は眉をひそめて首を傾ける。


「あ、あのなぁ! 仮にも旅仲間だったんだし、少しは連絡ぐらいしろよ! お前の魔法なら簡単だったろうが!」
「知るか。めんどくさい」
「め、めんどくさい……」


あまりの言い分にさすがのアノールドも顎を落としたままだ。


「ヒイロさんっ!」


突然ミュアが叫んだので、皆の視線が彼女に向く。


「何だチビ?」
「わ、わ、わたしだって心配したんです! ミ、ミミルちゃんもです! そ、それに……」


ミュアはリリィンたちをチラリと見て、


「な、何かすごく楽しそうだし……何でか小さな子も一杯だし……」
「何だって?」


ブツブツ小声で言うので聞き取れなかった。するとミュアは顔を真っ赤にして言う。


「と、とにかく、何か悔しかったんです! お、おじさんは完全に仕返しでヒイロさんのことを暴露しましたけど、おじさんだってヒイロさんのことを大切だったからこその仕返しです!」
「お、おいちょっとミュアさん……?」
「ほほう……仕返し……ねぇ」


日色の顔をアノールドは恐る恐る見ると、


「覚悟、できてるな?」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」


日色はある文字を書いて、アノールドに向けて放ち発動させた。すると、


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ! やめてぇっ! 俺にそっちの趣味はねえからぁぁぁっ! あ、ダメだって! そ、そこはだって大事な……あ、あ、あ、らめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」


突然一人で顔を青ざめながら悶え始めたアノールドを見てミュアがキョトンとして、何をしたのか日色に聞いてきた。


「なに、ただの悪夢を見せてるだけだ」


日色は『幻』の文字を使って、アノールドだけにある幻に苛(さいな)まれるようにした。その内容は、筋肉ムッチムッチの油テッカテッカのむさ苦しい男たちが裸でワッショイワッショイしてくれるというものである。


「なるほど~、簡単に言えば、今アノールド殿は、そっち系の男性の方々に囲まれ体を好きにされているということですな? これはこれは……地獄でございますね」


シウバが噛み砕いて説明してくれたことで、ミュアも頬を引き攣らせて保護者を見つめていた。


そして一分が経ち、ぐったりした様子で地面に転がっているオッサンがいた。


「反省したか?」
「……ぐす……ぐす……ひぐっ……もうお婿にいけない……」


きっと想像以上のことをされたのだろう。彼の目からはとめどなく涙が溢れていた。ミュアもアノールドの自業自得なので何も言えず、苦笑を浮かべていた。


「おいチビ、そう言えば青リボンは来ていないのか?」
「え? あ、青リボン? もしかしてミミルちゃんのことですか?」
「ああ」
「それなら皆さんの所にいます」
「やはりついてきたか」
「本当はここにも連れて来たかったんですけど、ミミルちゃんがせっかくの再会だからって向こうに残ってくれました」
「まあ、アイツとは先日会ったしな」


その言葉にミュアは少し耳をピクリと動かす。


「……ほんとにズルいです」
「あ?」
「やっぱりズルいですミミルちゃんだけ! この前来た時に、会ってほしかった……です」
「……はぁ、別にこうして会えたからいいだろうが」
「そ、それはそうです……けど……」
「それに、ここで会った方が良いと判断した」
「え?」
「楽しみはとっておきたかったからな」
「ヒイロさん……」


その時、ようやく意識を回復したのか、酷い顔をしたままアノールドが睨み付けるように見てくる。


「お……お前な……い……いつかぶち殺しちゃる……」
「やれるものならやってみろ」
「もう、おじさんが悪いんだよ」
「ミュア~」


縋るようにアノールドはミュアの名を呼ぶが、ミュアも呆れて肩を竦めている。実際にはミュアの失言でこうなったのだが、それを責めることができない親バカの精神だった。


「そんなことよりいつまでここに居るつもりだ? 今お前らは敵側だぞ? その意味分かってるよな?」


その言葉に二人はハッと息を飲む。そしてアノールドはキリッとした表情を作ると、


「…………だな。行くぞミュア」
「え、あ……わたし……」


ミュアはどうしたらいいか分からず戸惑っている。久しぶりに会えた日色ともっと一緒にいたいと思っているのかもしれない。だが日色が言うように今は敵同士で、ここにいることは本来許されない。


するとそんな彼女に日色は近づき、


トン……


額を指先で軽く突いた。


「この半年の成果、オレに見せてみろチビ」


突然のことでしばらく呆然としていたが、ゆっくりと額に手を持って行くミュア。そしてコクリと息を飲むと、


「はいっ!」


力強く返事をしてアノールドの隣に位置取った。だがすぐにまた日色に近づくと、


「あ、あのヒイロさん」
「あ?」
「……いろいろお話したいことがあるので、この戦いが終わったら時間を下さいね」
「は?」
「主にわたしのような小さな体の人たちがどうしてこんなにもいるのかについてですけど」
「…………な、何でそんなこと気にする?」


何か背中にうすら寒いものを感じた。ミュアの背中にひっそりと佇む般若が見えるのはきっと気のせいだろうが。


「ミミルちゃんもその件についてはきっとお話したいと思いますので、一緒にお話しましょうね?」
「あ、ああ……」


するとミュアはニッコリと笑うと再びアノールドのもとへと向かった。何だかミュアからとてつもない威圧感を感じたが、あんな威圧感を出せるまでになっていたとは…………成長したなと思った。


「ヒイロ、俺らがどれだけ強くなったか見せてやらぁ!」
「そんな宣言はいいからさっさと行け」
「くっ……わーったよっ! ここは楽しみにしているぞとか言えねえのか!」
「もう、おじさん行くよ!」
「は~い、分かったよミュア~!」
「……ロリコンは健在か」
「誰がロリコンじゃボケェッ!」
「ノフォフォフォフォ! アノールド様とは良いお友達になれそうでございます!」
「おう! アンタとは酒でも飲みかわしながらいろいろと……」
「いいから行くよおじさん!」
「あ、待てってばミュア!」


ミュアに手を引かれその場を離れて行く二人。


「ふぅ、相変わらず暑苦しい奴だったな」
「その割には結構楽しんでいたみたいだが?」


リリィンがニヤニヤ顔を向けてくるので不愉快そうに顔を歪める。


「ふん、冗談だろ。……まあ、懐かしさは感じたがな」


そんな日色を皆が笑みを浮かべながら見つめていた。










「どうやら何事も無く終わったようだな」


先程まで日色とアノールドたちのやり取りを遠目で見ていたイヴェアムの言葉に皆が首を傾けている。


「陛下、あの者たちは……?」


マリオネの問いにイヴェアムは答える。


「ヒイロの元旅仲間だったらしい。恐らくここに転移してきたら殴りかかってくるだろうが、それは当然のことなので手を出すなと厳命されていた」
「小僧が……ですか?」
「ああ、それにそちらもそうだったのでしょう獣王殿?」


そうして同じように手を出さなかったレオウードに視線を送る。


「まあな。アノールドからは是非友に会いに行きたいと言われたからな、了承した。恐らくヒイロもそのつもりだと言ってな」


どうやら双方で話が通じていたようだ。


「まあ、これで心置きなく始めることができるな……魔王よ?」
「……分かっている」


お互いに睨み合うと、先に口を開いたのはイヴェアムだった。


「そちらの決闘方法は聞いているが、もう一度確認のために教えて頂こうか」
「分かった。決
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Disalin!
第百六十八話 始まる魔族と獣人族の決闘!「では時間もありませんので、簡単に自己紹介をさせて頂きます。まずはあの方、わたくしの主であるリリィン様でございます」「え……あの幼……」 またもリリィンが喧嘩中なのにギロッと睨んできたので即座に言葉を改める。「あ、あの絶妙に可愛らしいお姫様がそうなんだ!」「ええ、ちなみにお嬢様は、年齢や身長、主に見た目についていろいろコンプレックスをお持ちでございますので発言には慎重にお願いします」「わ、分かった……」 ミュアも気を付けようと思い、アノールド同様に何度も頷く。「そして彼女はわたくしと同じようにお嬢様にお仕えしているシャモエでございます」「シャ、シャモエなのでしゅぅぅぅっ!」 シャモエは頬を染めながら言葉を発するが、見事に噛む。そんな彼女を見てミュアが親近感を持ったのは必然と言えよう。「そしてこちらはニッキ殿でございます。こう見えてもヒイロ様の愛弟子でございます」「よろしくですぞ!」 ニカッと笑みを浮かべたニッキを見て、「は、はぁ……あのヒイロが弟子をねぇ……」「じ、時間は流れてるってことだよおじさん!」 物珍しいものを見たといった感じで感嘆している二人。「そして……」「おひさしぶりだよふたりとも!」 ミカヅキが二人に対して手を上げて言うが、二人はポカンとしている。「え……誰? なにこの子?」 アノールドがそう呟くと、「ぶ~わすれるなんてひどいよぉ~! ミカヅキだってうっすらおぼえてたのにぃ~!」 頬を限界まで膨らませて拗ねるミカヅキ。「存在感が薄いですぞミカヅキ~」「うるさいよニッキ!」 ニッキに嫌味を言われミカヅキは顔を真っ赤にして怒鳴る。だが幼女の名前を聞いてもピンときていないアノールドたち。そこでシウバは説明することにした。「実は彼女はヒイロ様の手によって擬人化した存在でございます」「ぎ、擬人化だってぇっ!?」「はいでございます。元はライドピークと言う魔物でして、以前にもアノールド様たちとはお会いした経験があるとのことですが?」 そこでアノールドたちは思い出す。確かにライドピークを借りて【獣王国・パシオン】の近くまで乗せてもらった。「あ、あの時のライドピークってことか?」「そうだよ! ひどいよ、わすれるなんて! おじちゃんもミュアも!」「ご、ごめんね!」「お……おじちゃん……」 ミュアは正直に謝り、アノールドはおじちゃんと言われたことにショックを受けて肩を落としている。「最後にわたくしめの名前はシウバ・プルーティスと申します。以後お見知りおきを」 丁寧に頭を下げる。「しかしよ……擬人化とか転移とか、アイツどんどん何でもアリになってきてるよな……」 アノールドは頬を引き攣らせながら日色を見つめている。「ノフォフォフォフォ! ところでアノールド殿は何かこう、わたくしと近いものを感じます」「おお、そうなんだよ! 何か俺もアンタにはこう通じるものがあるっつうか」「そうでございましょう! 何故なのでしょうね! ノフォフォフォフォ!」「何なんだろうな! アハハハハ!」 どうやら変態とロリコンには、誰にも分からない絆が生まれていたようだった。会ったばかりなのに、まるで親友……いや、心友とも呼べるような感覚が二人の間に漂っていた。 そんな不思議で理解不能な化学反応にミュアはどうやって反応したらいいか戸惑っていると、ようやく口喧嘩が終わったのか、日色がやって来た。「ん? まだいたのか? ならとっとと自分の陣営に戻れ」「ぬぐ……お、お前なぁ……せっかく会ったってのにホントまったく……悲しいほどに変わらん奴だなオイ……それに最近国へ来たとか師匠から聞いたが、挨拶ぐらいしろよな……ったくよぉ」「半年でそう変わるか。それに国へ行った時に挨拶しなかったのはお前らがいなかったせいだ。オレに非は無い」「…………ホント偉そうだなお前は……」「あはは……何かほんとに懐かしいよね」 二人は呆れながら溜め息を漏らす。「そういやオッサン、獣王の前で、嬉しそうにオレのことを暴露したそうじゃないか」「え、あ、そ、それは……」 日色の口元は緩んでいるが、目は決して笑っていない。背中から黒いオーラが流れ出ている。「どうやら久しぶりにオレの魔法の実験体になりたいようだな?」「ちょ、ちょっと待てってヒイロ! た、確かに言ったけど、お、お前だって連絡一つよこさなかったじゃねえか!」「…………だから何だ?」 日色は眉をひそめて首を傾ける。「あ、あのなぁ! 仮にも旅仲間だったんだし、少しは連絡ぐらいしろよ! お前の魔法なら簡単だったろうが!」「知るか。めんどくさい」「め、めんどくさい……」 あまりの言い分にさすがのアノールドも顎を落としたままだ。「ヒイロさんっ!」 突然ミュアが叫んだので、皆の視線が彼女に向く。「何だチビ?」「わ、わ、わたしだって心配したんです! ミ、ミミルちゃんもです! そ、それに……」 ミュアはリリィンたちをチラリと見て、「な、何かすごく楽しそうだし……何でか小さな子も一杯だし……」「何だって?」 ブツブツ小声で言うので聞き取れなかった。するとミュアは顔を真っ赤にして言う。「と、とにかく、何か悔しかったんです! お、おじさんは完全に仕返しでヒイロさんのことを暴露しましたけど、おじさんだってヒイロさんのことを大切だったからこその仕返しです!」「お、おいちょっとミュアさん……?」「ほほう……仕返し……ねぇ」 日色の顔をアノールドは恐る恐る見ると、「覚悟、できてるな?」「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」 日色はある文字を書いて、アノールドに向けて放ち発動させた。すると、「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ! やめてぇっ! 俺にそっちの趣味はねえからぁぁぁっ! あ、ダメだって! そ、そこはだって大事な……あ、あ、あ、らめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」 突然一人で顔を青ざめながら悶え始めたアノールドを見てミュアがキョトンとして、何をしたのか日色に聞いてきた。「なに、ただの悪夢を見せてるだけだ」 日色は『幻』の文字を使って、アノールドだけにある幻に苛(さいな)まれるようにした。その内容は、筋肉ムッチムッチの油テッカテッカのむさ苦しい男たちが裸でワッショイワッショイしてくれるというものである。「なるほど~、簡単に言えば、今アノールド殿は、そっち系の男性の方々に囲まれ体を好きにされているということですな? これはこれは……地獄でございますね」 シウバが噛み砕いて説明してくれたことで、ミュアも頬を引き攣らせて保護者を見つめていた。 そして一分が経ち、ぐったりした様子で地面に転がっているオッサンがいた。「反省したか?」「……ぐす……ぐす……ひぐっ……もうお婿にいけない……」 きっと想像以上のことをされたのだろう。彼の目からはとめどなく涙が溢れていた。ミュアもアノールドの自業自得なので何も言えず、苦笑を浮かべていた。「おいチビ、そう言えば青リボンは来ていないのか?」「え? あ、青リボン? もしかしてミミルちゃんのことですか?」「ああ」「それなら皆さんの所にいます」「やはりついてきたか」「本当はここにも連れて来たかったんですけど、ミミルちゃんがせっかくの再会だからって向こうに残ってくれました」「まあ、アイツとは先日会ったしな」 その言葉にミュアは少し耳をピクリと動かす。「……ほんとにズルいです」「あ?」「やっぱりズルいですミミルちゃんだけ! この前来た時に、会ってほしかった……です」「……はぁ、別にこうして会えたからいいだろうが」「そ、それはそうです……けど……」「それに、ここで会った方が良いと判断した」「え?」「楽しみはとっておきたかったからな」「ヒイロさん……」 その時、ようやく意識を回復したのか、酷い顔をしたままアノールドが睨み付けるように見てくる。「お……お前な……い……いつかぶち殺しちゃる……」「やれるものならやってみろ」「もう、おじさんが悪いんだよ」「ミュア~」 縋るようにアノールドはミュアの名を呼ぶが、ミュアも呆れて肩を竦めている。実際にはミュアの失言でこうなったのだが、それを責めることができない親バカの精神だった。「そんなことよりいつまでここに居るつもりだ? 今お前らは敵側だぞ? その意味分かってるよな?」 その言葉に二人はハッと息を飲む。そしてアノールドはキリッとした表情を作ると、「…………だな。行くぞミュア」「え、あ……わたし……」 ミュアはどうしたらいいか分からず戸惑っている。久しぶりに会えた日色ともっと一緒にいたいと思っているのかもしれない。だが日色が言うように今は敵同士で、ここにいることは本来許されない。 するとそんな彼女に日色は近づき、 トン…… 額を指先で軽く突いた。「この半年の成果、オレに見せてみろチビ」 突然のことでしばらく呆然としていたが、ゆっくりと額に手を持って行くミュア。そしてコクリと息を飲むと、「はいっ!」 力強く返事をしてアノールドの隣に位置取った。だがすぐにまた日色に近づくと、「あ、あのヒイロさん」「あ?」「……いろいろお話したいことがあるので、この戦いが終わったら時間を下さいね」「は?」「主にわたしのような小さな体の人たちがどうしてこんなにもいるのかについてですけど」「…………な、何でそんなこと気にする?」 何か背中にうすら寒いものを感じた。ミュアの背中にひっそりと佇む般若が見えるのはきっと気のせいだろうが。「ミミルちゃんもその件についてはきっとお話したいと思いますので、一緒にお話しましょうね?」「あ、ああ……」 するとミュアはニッコリと笑うと再びアノールドのもとへと向かった。何だかミュアからとてつもない威圧感を感じたが、あんな威圧感を出せるまでになっていたとは…………成長したなと思った。「ヒイロ、俺らがどれだけ強くなったか見せてやらぁ!」「そんな宣言はいいからさっさと行け」「くっ……わーったよっ! ここは楽しみにしているぞとか言えねえのか!」「もう、おじさん行くよ!」「は~い、分かったよミュア~!」「……ロリコンは健在か」「誰がロリコンじゃボケェッ!」「ノフォフォフォフォ! アノールド様とは良いお友達になれそうでございます!」「おう! アンタとは酒でも飲みかわしながらいろいろと……」「いいから行くよおじさん!」「あ、待てってばミュア!」 ミュアに手を引かれその場を離れて行く二人。「ふぅ、相変わらず暑苦しい奴だったな」「その割には結構楽しんでいたみたいだが?」 リリィンがニヤニヤ顔を向けてくるので不愉快そうに顔を歪める。「ふん、冗談だろ。……まあ、懐かしさは感じたがな」

そんな日色を皆が笑みを浮かべながら見つめていた。










「どうやら何事も無く終わったようだな」


先程まで日色とアノールドたちのやり取りを遠目で見ていたイヴェアムの言葉に皆が首を傾けている。


「陛下、あの者たちは……?」


マリオネの問いにイヴェアムは答える。


「ヒイロの元旅仲間だったらしい。恐らくここに転移してきたら殴りかかってくるだろうが、それは当然のことなので手を出すなと厳命されていた」
「小僧が……ですか?」
「ああ、それにそちらもそうだったのでしょう獣王殿?」


そうして同じように手を出さなかったレオウードに視線を送る。


「まあな。アノールドからは是非友に会いに行きたいと言われたからな、了承した。恐らくヒイロもそのつもりだと言ってな」


どうやら双方で話が通じていたようだ。


「まあ、これで心置きなく始めることができるな……魔王よ?」
「……分かっている」


お互いに睨み合うと、先に口を開いたのはイヴェアムだった。


「そちらの決闘方法は聞いているが、もう一度確認のために教えて頂こうか」
「分かった。決
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