第百八十八話 瞬き忘れる攻防「マリオネ、体はどうだ?」 歩いている間、隣で歩くマリオネにイヴェアムが尋ねる。マリオネもまた平静を装っているの terjemahan - 第百八十八話 瞬き忘れる攻防「マリオネ、体はどうだ?」 歩いている間、隣で歩くマリオネにイヴェアムが尋ねる。マリオネもまた平静を装っているの Bahasa Indonesia Bagaimana mengatakan

第百八十八話 瞬き忘れる攻防「マリオネ、体はどうだ?」 歩いている間、

第百八十八話 瞬き忘れる攻防
「マリオネ、体はどうだ?」


歩いている間、隣で歩くマリオネにイヴェアムが尋ねる。マリオネもまた平静を装っているのか、顔色を変えずに


「お気遣い痛み入ります。しかしご心配には及びません。陛下に次には必ず勝利を捧げると宣言したことを、ここで成し遂げることができるように尽力しますので」
「……そうか、ならば勝とうマリオネ!」
「はっ!」


そうして向こうからこちらに向かって来ている対戦相手に視線を促す。まだまだ距離があるので小さく見えるが、それでもレオウードの存在感はハッキリと伝わってくる。さすがは獣王だと自然と手に汗が滲み出てくる。


そしてようやく二つの陣営が直接に顔を合わせることになった。改めて見るが、イヴェアムはレオウードの大きさに感嘆する。


これほど大きな人物とマリオネは戦ったのだ。そして善戦したが負けてしまった。それでも彼の手の内をほとんど把握することができて、効率の良い戦略を立てられるようになったのもマリオネの奮闘のお蔭だった。


「ノフォフォフォフォ! ようこそ第五回戦へようこそ!」


まるで自分が開催しているかのような雰囲気を出すシウバに誰も突っ込まない。ここにリリィンがいれば確実に何かしらの反応をしてくれたとは思うが。


「……ごほん、では確認します。『獣人族(ガブラス)』陣営、レオウード殿、レッグルス殿、王はレッグルス殿。よろしいでございますね?」


二人は小さく頷きを返す。


「『魔族(イビラ)』陣営、イヴェアム殿、マリオネ殿、王はイヴェアム殿。よろしいでございますね?」


こちらもしっかりと肯定する。


「それでは両陣営、どちら様もご悔いの無いように。準備ができましたらお声をおかけ下さいませ」


そう言ってシウバが一歩退くと、まず口を開いたのはレオウードだ。


「この戦いに勝った方が、全てを手に入れることができる」
「ああ、全力で倒させてもらう」


イヴェアムはそう答えると、レオウードはニッと笑みを浮かべてマリオネを見つめる。


「悪いとは思わんぞ。これも戦いだ」
「当然だ。この場に出た以上、情けなど無用。必ず勝たせてもらう」
「ガハハ! 良い雰囲気だ。やはり戦場はこうでなくてはな」


獰猛そうに、だが確かに楽しそうに口端を上げる。


「それに魔王よ」
「何だ?」
「ワシが勝ったら、ヒイロを貰い受ける」
「なっ!?」
「アレをワシは気に入っててな。是非娘の婿にしたい」


そんなレオウードの発言に、マリオネはキョトンとし、レッグルスはやれやれと肩を落とす。そしてイヴェアムはというと、


プルプルプルプル……


肩を小刻みに震わせていた。そして顔を俯かせたままで、


「…………ない」
「ん? 何か言ったか魔王よ?」
「わ、わ……」


他の者がイヴェアムに注視すると、彼女はバッと顔を上げて、


「渡さないっ!」


レオウードもその覇気に思わず目を見張ることになった。


「いいか! 絶対にヒイロは渡さんっ! ヒイロは私のものだっ!」


そこからはしばらく沈黙が流れ、イヴェアムも勢いで自分が何を口走ったのか思い出し、瞬間湯沸かし器状態になり、


「あ、う、い、いや、その、こ、これは違くて……」


皆の視線が何故か冷たく感じるイヴェアムは両手で顔を覆いしゃがみ込むと、


「ああぁぁぁぁっ! お城に帰りたいぃぃぃぃっ!」


とんでもないことを叫び出した。


「へ、陛下……」


マリオネもさすがに不憫に思ったのか、優しく声をかけるが、突然キッとイヴェアムに睨まれて、


「い、いいいいか! い、い、今のは言葉のあやで、あ、あ、あれだ! 私=『魔族(イビラ)』なのであって、つまり私のものだというのは『魔族(イビラ)』のものであって、決して私個人の思いというわけではなくてだな!」
「は、はあ、もう分かりましたから毅然として下さい陛下」
「わ、分かっているわよっ!」


口調も変化して、半ば自棄になったように立ち上がると、ビシッとレオウードに指を差す。


「わ、私が勝つっ!」


イヴェアムの勢い九割確実な宣言を聞いてレオウードは楽しそうに笑みを見せつける。


「ガハハ! なるほど、さすがはヒイロだ! すでに魔王の心をも掴んでおったか!」


そして瞬時に目を細めて真面目な表情をする。


「ならば力づくで全てを奪わせてもらおう!」


二人の視線の間に火花が散る。二人してサッと視線を逸らすと、互いに距離を取るように離れて行く。


「こちらは準備はいい」
「こっちもだ」


イヴェアムとレオウードの発言を聞いて、シウバが軽く咳をしてから、


「それでは開始宣言をさせて頂きますね」


キーンと周囲の空気が一気に張りつめる。互いが互いの一挙手一投足を逃すまいと瞬きを忘れて見入る。


「第五回戦…………始めっ!」


最終戦の幕が上がった。








「陛下、獣王は私が何とか抑えます! ですからあの者を!」


王の役目を背負っている第一王子であるレッグルスを討つことを優先するのは当然の戦術だ。だがその考えは相手も当然持っている。


獣王レオウードは、レッグルスの前に立ち、さすがの覇気を感じさせている。


「マリオネ、上へ飛べっ!」


イヴェアムは地面に手を置くと、


「グランダッシャーッ!」


凄まじい地響きとともにレオウードたちに向けて地面に亀裂が走る。そしてその亀裂がさらに広がり、その中から爆風に混じって石や土の塊などが彼らを襲う。


「むぅっ! 左に跳べレッグルス!」
「分かっています!」


二人は弾けるようにその場から脱出を図り、イヴェアムの攻撃から避ける。


「マリオネッ!」
「分かっております! イクリプス・トライデント!」


闇色の三叉槍がマリオネの周囲に幾本も生まれる。そして今度は槍群が彼らに向かって空から襲い掛かった。


「上です父上!」
「決してアレに触れるなよ!」
「承知っ!」


レッグルスは素早く剣を抜くと、力を剣に集中させる。すると剣を空気中に生まれた水が集束していく。ちょうど剣を覆うほどになると、レッグルスはそのまま横薙ぎに振り切る。


「《水の牙》ぁぁぁっ!」


水でできた刃が剣から放たれ、槍群に直撃する。そして触れた瞬間、《水の牙》は弾けて槍群を吹き飛ばしていく。


「よくやったぞレッグルス!」


上手く相手の攻撃を防いだレッグルスを褒めるが、


「こちらはまだ手はある!」


イヴェアムはすぐさま次の行動に移っていた。今度は両手を開いて二人に向けている。


「ブレイブフレイムッ!」


右手から火炎が噴出し、そして、


「エアスパイラルッ!」


左手からは風が竜巻状に放たれる。さらにその二つが合わさり、さながら炎の竜巻が生み出され、レオウードたちを襲う。


それを見たレッグルスはギョッとなり咄嗟にその場から逃げようと試みようとするが、


「レッグルス、そこでしかと踏ん張っていろ!」
「……父上?」


レオウードの体が火のように真っ赤になり、顔をしかめるほどの熱風が飛んでくる。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」


驚いたことに炎の竜巻に向かって突撃した。


「ち、父上っ!?」


まさかの行動に驚いたが、突然レオウードが炎に向かってその剛腕を振り抜くようにアッパーを繰り出す。すると竜巻は方向を変え、上空へと昇っていってしまった。


竜巻を殴り飛ばしてしまったレオウードの規格外っぷりに、息子であるレッグルスも唖然としてしまった。


「油断するなレッグルス!」
「え?」


レッグルスの背後には、いつの間にかマリオネが位置取っていた。


「早々に終わらせてもらうぞ小僧!」


その手には先程の三叉槍が握られている。


ブシュッ!


レッグルスの胸を突き破り三叉槍は残酷な姿をレオウードに見せつける。だがレオウードは少し驚いた表情を浮かべただけで、マリオネの方に向って来る気配は無い。


何故だと思ったが、次の瞬間理由が分かった。


パシャァッ!


突然目の前にいるレッグルスの体が液体状に弾けて地面に散る。


「なっ!?」


そして背後から殺気を感じて振り向くと、そこから水の塊が飛んできていた。


「ちっ!」


翼を広げてその場から空へと避難した。そして水の塊が放たれた先を確認すると、そこにはレッグルスの姿があった。


「……若造め、一杯喰わされたか」


どうやら先程攻撃したのは水でできた分身だったようだ。


「まるで魔法のように《化装術》を使いこなすとは……これは認識を改める必要があるというわけか。さすがは獣王の血を引く者か」


てっきり隙をついて、勝負を決したと思ったのだが、逆にそれを逆手に取られていたようだ。しかも《化装術》を使いこなせていることから見ても、余程訓練をしたのだと推測できた。


「あの獣王がパートナーに選んだだけはあるということか」


ゆっくりとイヴェアムの傍に降りてくる。


「陛下、どうやらあの若造もただの飾りではないようですな」
「それはそうだろう。彼はレオウード王の後継者だ。武よりも智に優れた人物だとは調査で理解していたが、だからこそ《化装術》の使いようが上手いのだろう。そしてそれは戦いでも確実に発揮できる」


するとレオウードも嬉しそうに笑みを浮かべてレッグルスの近くに向かう。


「どうだ魔王イヴェアム、そしてマリオネよ! そう簡単には王は取らせんぞ?」
「……ああ、それは百も承知だ。しかし私の魔法を殴り飛ばすとは、どういう体の構造をしているのだ?」
「ガハハ! 忘れたのか? ワシは火の《化装術》を持つ者だぞ?」


そこでイヴェアムはゴクリと喉を鳴らした。たとえ火に耐性があっても、殴り飛ばすことができるのはレオウードしかいない。


「だが驚いたのはコッチもだ。マリオネの実力は先の戦いで分かっていたが、魔王があれほど強力な魔法を……しかも複数の属性を扱えるとはな。それに二つの属性魔法を合わせて攻撃するとは恐れ入った」
「舐めるなよ。こう見えても魔王だ!」


イヴェアムはキッと鋭くさせた視線をぶつける。


「マリオネの体調のこともあり、すぐに終わるかとも思ったが、存外楽しめるな」


獰猛な殺気がビリビリと大気を震わせる。生半可な者ならば、この圧力を受けただけで息苦しさを憶え戦闘不能に陥るだろう。


「マリオネ、体調は……いや、聞いても答えは同じか」
「そうですな、聞くだけ無駄ですとだけ答えておきましょう」
「ならその命、私に預けてくれ!」
「御意っ!」
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第百八十八話 瞬き忘れる攻防「マリオネ、体はどうだ?」 歩いている間、隣で歩くマリオネにイヴェアムが尋ねる。マリオネもまた平静を装っているのか、顔色を変えずに「お気遣い痛み入ります。しかしご心配には及びません。陛下に次には必ず勝利を捧げると宣言したことを、ここで成し遂げることができるように尽力しますので」「……そうか、ならば勝とうマリオネ!」「はっ!」 そうして向こうからこちらに向かって来ている対戦相手に視線を促す。まだまだ距離があるので小さく見えるが、それでもレオウードの存在感はハッキリと伝わってくる。さすがは獣王だと自然と手に汗が滲み出てくる。 そしてようやく二つの陣営が直接に顔を合わせることになった。改めて見るが、イヴェアムはレオウードの大きさに感嘆する。 これほど大きな人物とマリオネは戦ったのだ。そして善戦したが負けてしまった。それでも彼の手の内をほとんど把握することができて、効率の良い戦略を立てられるようになったのもマリオネの奮闘のお蔭だった。「ノフォフォフォフォ! ようこそ第五回戦へようこそ!」 まるで自分が開催しているかのような雰囲気を出すシウバに誰も突っ込まない。ここにリリィンがいれば確実に何かしらの反応をしてくれたとは思うが。「……ごほん、では確認します。『獣人族(ガブラス)』陣営、レオウード殿、レッグルス殿、王はレッグルス殿。よろしいでございますね?」 二人は小さく頷きを返す。「『魔族(イビラ)』陣営、イヴェアム殿、マリオネ殿、王はイヴェアム殿。よろしいでございますね?」 こちらもしっかりと肯定する。「それでは両陣営、どちら様もご悔いの無いように。準備ができましたらお声をおかけ下さいませ」 そう言ってシウバが一歩退くと、まず口を開いたのはレオウードだ。「この戦いに勝った方が、全てを手に入れることができる」「ああ、全力で倒させてもらう」 イヴェアムはそう答えると、レオウードはニッと笑みを浮かべてマリオネを見つめる。「悪いとは思わんぞ。これも戦いだ」「当然だ。この場に出た以上、情けなど無用。必ず勝たせてもらう」「ガハハ! 良い雰囲気だ。やはり戦場はこうでなくてはな」 獰猛そうに、だが確かに楽しそうに口端を上げる。「それに魔王よ」「何だ?」「ワシが勝ったら、ヒイロを貰い受ける」「なっ!?」「アレをワシは気に入っててな。是非娘の婿にしたい」 そんなレオウードの発言に、マリオネはキョトンとし、レッグルスはやれやれと肩を落とす。そしてイヴェアムはというと、 プルプルプルプル…… 肩を小刻みに震わせていた。そして顔を俯かせたままで、「…………ない」「ん? 何か言ったか魔王よ?」「わ、わ……」 他の者がイヴェアムに注視すると、彼女はバッと顔を上げて、「渡さないっ!」 レオウードもその覇気に思わず目を見張ることになった。「いいか! 絶対にヒイロは渡さんっ! ヒイロは私のものだっ!」 そこからはしばらく沈黙が流れ、イヴェアムも勢いで自分が何を口走ったのか思い出し、瞬間湯沸かし器状態になり、「あ、う、い、いや、その、こ、これは違くて……」 皆の視線が何故か冷たく感じるイヴェアムは両手で顔を覆いしゃがみ込むと、「ああぁぁぁぁっ! お城に帰りたいぃぃぃぃっ!」 とんでもないことを叫び出した。「へ、陛下……」 マリオネもさすがに不憫に思ったのか、優しく声をかけるが、突然キッとイヴェアムに睨まれて、「い、いいいいか! い、い、今のは言葉のあやで、あ、あ、あれだ! 私=『魔族(イビラ)』なのであって、つまり私のものだというのは『魔族(イビラ)』のものであって、決して私個人の思いというわけではなくてだな!」「は、はあ、もう分かりましたから毅然として下さい陛下」「わ、分かっているわよっ!」 口調も変化して、半ば自棄になったように立ち上がると、ビシッとレオウードに指を差す。「わ、私が勝つっ!」 イヴェアムの勢い九割確実な宣言を聞いてレオウードは楽しそうに笑みを見せつける。「ガハハ! なるほど、さすがはヒイロだ! すでに魔王の心をも掴んでおったか!」 そして瞬時に目を細めて真面目な表情をする。「ならば力づくで全てを奪わせてもらおう!」 二人の視線の間に火花が散る。二人してサッと視線を逸らすと、互いに距離を取るように離れて行く。「こちらは準備はいい」「こっちもだ」 イヴェアムとレオウードの発言を聞いて、シウバが軽く咳をしてから、「それでは開始宣言をさせて頂きますね」 キーンと周囲の空気が一気に張りつめる。互いが互いの一挙手一投足を逃すまいと瞬きを忘れて見入る。「第五回戦…………始めっ!」 最終戦の幕が上がった。「陛下、獣王は私が何とか抑えます! ですからあの者を!」 王の役目を背負っている第一王子であるレッグルスを討つことを優先するのは当然の戦術だ。だがその考えは相手も当然持っている。 獣王レオウードは、レッグルスの前に立ち、さすがの覇気を感じさせている。「マリオネ、上へ飛べっ!」 イヴェアムは地面に手を置くと、「グランダッシャーッ!」 凄まじい地響きとともにレオウードたちに向けて地面に亀裂が走る。そしてその亀裂がさらに広がり、その中から爆風に混じって石や土の塊などが彼らを襲う。「むぅっ! 左に跳べレッグルス!」「分かっています!」 二人は弾けるようにその場から脱出を図り、イヴェアムの攻撃から避ける。「マリオネッ!」「分かっております! イクリプス・トライデント!」 闇色の三叉槍がマリオネの周囲に幾本も生まれる。そして今度は槍群が彼らに向かって空から襲い掛かった。「上です父上!」「決してアレに触れるなよ!」「承知っ!」 レッグルスは素早く剣を抜くと、力を剣に集中させる。すると剣を空気中に生まれた水が集束していく。ちょうど剣を覆うほどになると、レッグルスはそのまま横薙ぎに振り切る。「《水の牙》ぁぁぁっ!」 水でできた刃が剣から放たれ、槍群に直撃する。そして触れた瞬間、《水の牙》は弾けて槍群を吹き飛ばしていく。「よくやったぞレッグルス!」 上手く相手の攻撃を防いだレッグルスを褒めるが、「こちらはまだ手はある!」 イヴェアムはすぐさま次の行動に移っていた。今度は両手を開いて二人に向けている。「ブレイブフレイムッ!」 右手から火炎が噴出し、そして、「エアスパイラルッ!」 左手からは風が竜巻状に放たれる。さらにその二つが合わさり、さながら炎の竜巻が生み出され、レオウードたちを襲う。 それを見たレッグルスはギョッとなり咄嗟にその場から逃げようと試みようとするが、「レッグルス、そこでしかと踏ん張っていろ!」「……父上?」 レオウードの体が火のように真っ赤になり、顔をしかめるほどの熱風が飛んでくる。「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」 驚いたことに炎の竜巻に向かって突撃した。「ち、父上っ!?」 まさかの行動に驚いたが、突然レオウードが炎に向かってその剛腕を振り抜くようにアッパーを繰り出す。すると竜巻は方向を変え、上空へと昇っていってしまった。 竜巻を殴り飛ばしてしまったレオウードの規格外っぷりに、息子であるレッグルスも唖然としてしまった。「油断するなレッグルス!」「え?」 レッグルスの背後には、いつの間にかマリオネが位置取っていた。「早々に終わらせてもらうぞ小僧!」 その手には先程の三叉槍が握られている。 ブシュッ! レッグルスの胸を突き破り三叉槍は残酷な姿をレオウードに見せつける。だがレオウードは少し驚いた表情を浮かべただけで、マリオネの方に向って来る気配は無い。 何故だと思ったが、次の瞬間理由が分かった。 パシャァッ! 突然目の前にいるレッグルスの体が液体状に弾けて地面に散る。「なっ!?」 そして背後から殺気を感じて振り向くと、そこから水の塊が飛んできていた。「ちっ!」 翼を広げてその場から空へと避難した。そして水の塊が放たれた先を確認すると、そこにはレッグルスの姿があった。「……若造め、一杯喰わされたか」 どうやら先程攻撃したのは水でできた分身だったようだ。「まるで魔法のように《化装術》を使いこなすとは……これは認識を改める必要があるというわけか。さすがは獣王の血を引く者か」 てっきり隙をついて、勝負を決したと思ったのだが、逆にそれを逆手に取られていたようだ。しかも《化装術》を使いこなせていることから見ても、余程訓練をしたのだと推測できた。「あの獣王がパートナーに選んだだけはあるということか」 ゆっくりとイヴェアムの傍に降りてくる。「陛下、どうやらあの若造もただの飾りではないようですな」「それはそうだろう。彼はレオウード王の後継者だ。武よりも智に優れた人物だとは調査で理解していたが、だからこそ《化装術》の使いようが上手いのだろう。そしてそれは戦いでも確実に発揮できる」 するとレオウードも嬉しそうに笑みを浮かべてレッグルスの近くに向かう。「どうだ魔王イヴェアム、そしてマリオネよ! そう簡単には王は取らせんぞ?」「……ああ、それは百も承知だ。しかし私の魔法を殴り飛ばすとは、どういう体の構造をしているのだ?」「ガハハ! 忘れたのか? ワシは火の《化装術》を持つ者だぞ?」 そこでイヴェアムはゴクリと喉を鳴らした。たとえ火に耐性があっても、殴り飛ばすことができるのはレオウードしかいない。「だが驚いたのはコッチもだ。マリオネの実力は先の戦いで分かっていたが、魔王があれほど強力な魔法を……しかも複数の属性を扱えるとはな。それに二つの属性魔法を合わせて攻撃するとは恐れ入った」「舐めるなよ。こう見えても魔王だ!」 イヴェアムはキッと鋭くさせた視線をぶつける。「マリオネの体調のこともあり、すぐに終わるかとも思ったが、存外楽しめるな」 獰猛な殺気がビリビリと大気を震わせる。生半可な者ならば、この圧力を受けただけで息苦しさを憶え戦闘不能に陥るだろう。「マリオネ、体調は……いや、聞いても答えは同じか」「そうですな、聞くだけ無駄ですとだけ答えておきましょう」「ならその命、私に預けてくれ!」「御意っ!」
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